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「暴れ馬」覚醒、中田大一番で魂の124球

- 中日中田は8回、二岡を三振に仕留めガッツポーズを見せる(撮影・清水貴仁)
<クライマックスシリーズ:巨人2-4中日>◇セ第2ステージ◇20日◇東京ドーム
最後の124球目もストレートだった。2点リードの8回1死一、二塁、打席には2回に先制ソロを浴びた二岡。カウント2-2から外角低めに145キロ。スイングさえも許さない完ぺきな1球でこの日11個目の三振。両拳を握り締めて投げた勢いのままに半回転。右腕を振るド派手なガッツポーズを繰り出して「ヨッシャ」と短くほえた。
「苦しい投球だったけど、最後はしっかり出し切ろうという気持ちだった。直球に自信を持って投げた」
大舞台で闘争本能が目覚めた。日本シリーズ王手で臨んだ第3戦。4回、巨人李への内角球を巡って起こった“乱闘騒ぎ”を境に、球速が上がっていく。普段はクールな25歳が「今までで1番喜怒哀楽が出ました。今日は気持ちだけで投げた」。2暴投も3四死球も関係ない。球威抜群の直球で押しまくって、バットに空を切らせる。三振のたびに大声で叫び、右拳をグッと握った。落合監督が「暴れ馬」と評する右腕が、覚醒した。
3月1日、肝臓がんを7年間患っていた父治英さんが亡くなった。無名の北九州市立大で野球に打ち込む自分を誰よりも応援してくれた。最後の夜は病室の父に寄り添い静かに泣いた。
1冊の本があった。知人に贈られた輪廻転生と魂の生まれ変わりを説く本。遠征時に持ち歩いて時間をかけて熟読した。「不思議な気持ちになるというか、どこかに(父が)いるというか。大事な人の死を見届けたことで多少の困難でも動じないようになった」。
今季はチームトップの14勝を挙げてCSでも阪神、巨人を連破した。最愛の父の死を受け入れて、輝きを増した右腕は「日本シリーズでもできるだけ長いイニングを投げて勝ちがつくようにしたい」。父の霊前に供えたウイングボールの列に、日本シリーズの白球も加える。【益田一弘】
[2007年10月21日9時51分 紙面から]
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