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ノリ右へ左へ2打席連発!

- 中日中村紀は3回表、右翼席へ2号ソロを放つ
<ヤクルト7-16中日>◇21日◇神宮
中村紀は打った瞬間、確信した。5回の第3打席、花田の138キロ内角シュートを豪快にたたいた。誇らしげにバットを高々と空中に放り投げて一塁に向かった。「ちょっと詰まったけどうまく打てました」。左翼席に突き刺さる打球は見ることはなかった。
3回の第2打席では得意の右打ちで藤井の変化球を右翼席に打ち込んだ。移籍後初の2打席連続本塁打は、オリックス時代の昨年7月14日の楽天戦以来281日ぶり。かつて日本代表の4番を務めたスラッガーが神宮でついに覚醒した。
師匠と仰ぐ落合監督の指導があった。この日の試合前まで打率2割4分6厘と低迷。試合前のレッスンが日課になった。バットの軌道、左足を踏み出す角度、構えでバットを揺らす予備動作。左手親指の皮がめくれても「毎日の指導に応えたい」と必死で耳を傾けた。石嶺打撃コーチは「最高の右打者が、あれほどの実績がある選手を教える。何も心配することはない」。3冠王と日本代表4番の師弟タッグが花を咲かせた。
忘れられない白球がある。名古屋市内のホテルの部屋には1つのボールが飾ってある。電撃的なルール変更で、育成選手のオープン戦出場が可能になって呼ばれた3月7日の西武戦。本拠地ナゴヤドームで、1軍合流即本塁打を放った。たかが、オープン戦での1発。だが、そのボールを手元に置いておきたかった。
「あの1発があるから自分は今この場にいる」。浪人危機、育成選手契約、そして1軍出場。兵庫・芦屋にいる家族と離れて過ごす単身赴任の孤独な日々。関係者を通じて、記念球とサイン入りの赤いグローブを交換してもらった。「いつも眺められるようにしています」。
ペナントは残り125試合とまだ長い道のりだ。ただその白球を見れば、いつでも野球をやれる喜びを思い出すことができる。【益田一弘】
[2007年4月22日9時51分 紙面から]
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