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3巡目浅尾、祈った実った!

中日3巡目指名を受けた浅尾はチームメートとともに喜ぶ(撮影・清水貴仁)
中日3巡目指名を受けた浅尾はチームメートとともに喜ぶ(撮影・清水貴仁)

 相思相愛の恋が実った! 中日は21日、東京都内のホテルで行われた大学・社会人ドラフトの3巡目で西武から横やりが入る可能性のあった日本福祉大・浅尾拓也投手(22)の指名に成功した。最速152キロ右腕はプロでの目標を「155キロ」と「藤川超え」に定めた。中日は希望枠の東洋大・田中大輔捕手(21)を加え6選手を指名。9月25日の高校生ドラフトで獲得した愛工大名電・堂上直倫内野手(18)、横浜・福田永将捕手(18)を加え8選手の指名となった。

 浅尾は祈った。会見場に持ち込んだパソコンが映し出すインターネット速報に食い入った。強行指名もうわさされた西武が別の選手を指名した瞬間には笑顔が出た。次は中日…。心臓の鼓動を抑えるようにシャツをぎゅっと握り締めた。そして。「中日のスカウトから指名させていただいたと連絡が入りました!」。大学関係者が部屋に飛び込んできた。「ふっ~」。大きく息を吐き出した。浅尾の祈りは通じた。

 「ここのところ全然眠れなくて…。中日に入れることだけを願って待っていたので本当にうれしいです」。指名直後の会見では、目を真っ赤にして喜びを語った。前日20日の夜、眠りにつけたのは午前3時。それでも4時間後には目が覚めてしまった。ドラフト当日が近づいてからは食事もまともにノドを通らなくなり、ここ1週間で体重は4キロも減っていた。

 地元中日と相思相愛だったが、ドラフトが近づくにつれて評価が急上昇した。10月にはあいさつに来た西武とヤクルトに対して中日以外なら社会人入りの意志を伝えた。それでも3巡目の指名順は中日が最も遅かった。実際にドラフト会場では中田スカウト部長が他球団の横やりを覚悟し、他選手の名前を書き込んだ3巡目指名の用紙を用意していたほどだった。それだけに喜びが倍増した。

 念願の中日で目指すのは「速球王」だ。「ずっと速い球を投げたいと思ってきました。全部含めて1番速いのは藤川さんだと思います。僕もまず155キロを目標にしたい」。プロでの目標として日本人最速と言われる阪神の藤川を挙げた。浅尾自身、大学入学時には138キロだった球速は、2年秋に140キロを突破し、2年後の今秋に152キロを計測するまでになった。無限の可能性が広がっている。

 愛知大学野球リーグ2部の日福大はこれまでプロ野球選手はおろか、社会人野球の選手も輩出していない。グラウンドは他の運動部と兼用。移動の専用バスはなし。ウエートトレーニング場もなし。選手寮もなし。全員練習は週1回だけ。ないないづくしの環境で育っただけに、伸びしろはまだ十分だ。分かっていても打てない直球を投げる「藤川級」の怪物に成長するのも夢ではなさそうだ。【鈴木忠平】

浅尾拓也(あさお・たくや)

 ◆誕生 1984年(昭59)10月22日、愛知県知多市生まれ。

 ◆球歴 小学校1年の時に野球を始め、八幡中では捕手。常滑北高2年秋に新チームに投手がいなかった事情から投手転向。日福大では1年秋からベンチ入り。3年秋から先発定着。今秋の愛知大学野球リーグ2部・名産大戦ではノーヒットノーランを達成。エースとして1部昇格に導いた。

 ◆筋力データ 握力は右50キロ、左52キロ。背筋力240キロ。

 ◆背番号 高校時代から背負っている「22」がお気に入り。「これからもできればつけたい」。

 ◆好きな選手 中日の川上憲伸。阪神の藤川球児。

 ◆趣味・特技 映画鑑賞、縄跳び。

 ◆家族 父・美国さん(69)母・桂子さん(51)姉・美佳さん(24)

 ◆サイズ 181センチ、71キロ。右投げ右打ち。

[2006年11月22日9時52分 紙面から]

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